森と庭の管理人(仮称)

副理事長.森と庭を管理する。

【今日は調査補助 明日は…】

今日は友人の,マイマイガの調査(調査内容は知らないのですが)の補助です。

廃盤となったT-10が,専門外の調査に引っ張り出されるとは思いませんでしたが,

ちょっと役に立ちそうで,嬉しいです。

明日は,社有林のきのこ山施業実験を行います。

通常行われているような地かきを行うわけではありません。

が,いずれにせよ,

山の自然力を引き出して,きのこを発生させる点では類似しています。

まさか,数十年ごみ捨て場や土砂盗掘のあったような森林で,

こんな実験や様々なイベントを行っているとは,思わないでしょうね^^

そういう意外性が,その場所のポテンシャルを,

より魅力のあるもののように感じさせるのではないかと思いますが,

いかがでしょう。

かつては,地域のちょっと困った存在であった社有林は,

個人的には,私の格好のバードウォッチングの場となっています。

椅子と望遠鏡,カメラとお昼ご飯,ストーブ携行でゆっくり鳥見をするのは,

なんとも言えない楽しみです。

さて,行ってきますか^^ 

昨日の雪から,今日はものすごい晴天です。皆様,よい1日を。

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【自分にとっての故郷「東京」】

家は転勤族で,国外も含めて10カ所以上転々としていましたので,

東京出身とは言っても,小中高を過ごしただけなのですが,

東京は自分にとっての故郷と思っています。

杉並区に少し,そしてほとんどを,世田谷区奥沢という地域で過ごしました。

この辺りは現在では高級住宅地ですが,当時はまだとても牧歌的で,

近隣の自由が丘も,田舎のもっさりした繁華街という風情でした。

環八のすぐそばに家があり,歩道橋を越えると田園調布の駅が見え,

高校生の時に,当時の校長先生であった東工大の平井聖先生の

田園都市論を拝聴し,自分も空間を作るような仕事をしたいと夢見ました。

自分の人生と居住地域が繋がったのは,この時が初めだったと思います。

私の父は大阪,母は長崎の人間でしたが,この地に住んで,

すっかり東京人のように振舞って過ごしていました。

ところで東京人って何だろうと,先日考えていた矢先

表記の麻木久仁子さんの記事が目に入りました。

【私だけの東京・2020に語り継ぐ】

https://mainichi.jp/articles/20180221/dde/012/040/006000c

「でも私が育ったような住宅地では出身とか、先祖とか、しがらみとかは一切関係なかった。隣に住む人がいかにしてこの地にたどり着けたかなんて誰も問わなかった。今、目の前にいる人の姿が全てだったんです。」

 

この文章を読み,やっと得心がいきました。

その人の背景に関わらず,みな「東京人」として生きることができる自由,

これが東京の包容力なのだなあと感じています。

今,地方都市の素晴らしい住環境に身を置いていますが,時折ふと,

東京に帰りたいなあと思うことが多くなってきました。

実家は東京を引き払ってしまいましたが,細々と仕事でこの街と繋がっています。

その時はしばしの東京人に戻って,一人ランチで少しだけ肩の力が抜けます。

お堀のそばを歩きながら,ちょっと遠い将来は東京に戻りたいなあと,

最近そんな風に感じるのです。東京は密かな私の故郷です。

 

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今年は,久々に浄真寺に行きたいですね…^^



 

 

【どうもありがとうございます】

ここのところ,何人もの方からメールやメッセージ,

ブログへのコメントをいただいています。

どうもありがとうございます。

私事により,昨年末からバタバタしていましたこと,

このはてなブログの使い方がイマイチ判然とせず,戸惑っていたことにより,

不義理を重ねております。

この場をお借りし,お詫び申し上げます。

少しずつ状況が変化してまいりましたので,

遅くなりましても,コツコツご返信させていただきますm(_ _)m

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さてこの度,とある小さな森林の所有者様から

素敵な森林をデザインして欲しいとの,オーダーをいただきました^^

今回のような所有が明確で,面積の小さな林地・樹林の場合,

所有者様が,扱いに困りながらも,どうにかしたい,

とお考えのケースが結構あります。

実は小さな森林は,地形にもよりますが目が届きやすく,

そのため,生活資源を管理しやすい側面があり,

 生活を潤わす存在にしやすいと,体験的に考えています。

例えば,普通は困りものの放置広葉樹林ですが,

弊社のクヌギ林は,林地として管理する部分では悉皆調査がかけられ,

個体単位の管理を行っています。

樹木位置も地図情報にプロットされているため,

美しい樹林の計画と資源計画を,机上で一旦行い,

その後,現場あたりをするという手順を迅速に行うことが可能です。

また,弊社には多岐にわたる専門家が関わっていますが,

小さな林地では多くの場合,その場で専門家同士が意見の交換をしやすく,

かつ,結果をまとめやすいという利点もあります。

所有者様にはまず,森林とともに,どのような生活をしたいのか,

夢を膨らませていただき,生活のデザインをご一緒に構築し,

その後の森林空間の具体的なデザインに反映します。

これまでの林地の施業計画とは,林地と生活をつなげると言う部分で,

一線を画しているのが,弊社の森林空間デザインの特徴と言えます。

デザインの手順は,すこし建築設計と似ているのではないかと思います。

また,ちょっと驚かれるのですが,古の造林書なども,参考にしています。

小さな林地では,樹木や植物を生き物として扱うことで,

彼らの順調な成長を促し,かつ健全な林木で構成される森林を造成すると言う考えは,

実は古の,100年ほど以前の林学者たちの英知でもあるのです。

 

 

写真は,国蝶オオムラサキの幼虫。

この山は,エノキとエゾエノキが混生しているようです。

こんな発見も,小さな森林ならでは,なのです^^

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参考:Heinrich Mayr(1902):Waldbau auf naturgesetzlicher Grundlage

 

 

 

 

 

【植物造形デザインを学ぶ】

昨年からぼちぼち,ドイツ国認定フロリストマイスターの橋口学先生のもとで,

植物造形デザインの理論を学びに行っています。

ドイツのフロリストデザインは,1900年初頭に

バウハウス出身のフランツ・コルブラントによって体系立てられたそうです。

ザーリッシュの著書と同時代でもあります。

このドイツ流デザインの理論は,以下のような内容なのですが,

森林美学の前半の部分,美の基礎についての記述と

内容がかなり被っていることに,少し驚きました。

1 自然観察・造形の文法

2 植物のキャラクターと主張

・テーマを持った造形の進め方
3 植物の動き・コントラストとハーモニー

4 植物の表面構造・グルーピングと並び方

5 プロポーション・視覚的なバランス

6 色彩学

特に色彩などは,ゲーテの色彩論による色環を採用していますし,

コルブラントは

花だけではなく,植物全体から受けるその種のイメージを見出していますが,

ザーリッシュはこれを樹木で行い,記載しています。

この両者の間に,何らか関係はあったのでしょうか?

いずれにせよ,ザーリッシュの書を森林管理の技術書と断定するのは

少し早計だったような気がします。

全体を読み,フロリストのデザイン理論を学んだ今は,

森林空間デザインのための指南書的な側面が強いと感じています。

引用:
1)サトウタツヤ イロイロ知りたい!心理学史 光と色をめぐる ニュートンゲーテの立場

https://psych.or.jp/wp-content/uploads/2017/10/51-42.pdf

2)Franz Kolbrand(1992), Europa windet den Kranz 

3)ハシグチアレンジメンツ フロリスト植物造形理論レッスン
http://www.h-arrangements.com/lesson/lessonriron.html

  

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【ヤドリギ】

またこの季節が到来しました。

ヤドリギとのおつきあいも,5年くらいになったでしょうか?

この間,ずいぶん色んな方々から,ご商売としてのお問い合わせいただきました。

しかし弊社は,来年度はもしかしたらプロジェクトは行わず,

この不思議な植物の偏在的な分布や,近年の爆発的な増加について,

ちょっと本腰を入れて調査を行う期間をとるかもしれません。

確かに住宅地のなかの大木は,ただでさえ維持が大変なのに加えて,

ヤドリギが寄生していることで,枝が落ちるなど,安全面にも問題はあります。

そのため,ヤドリギの除去をさせていただいた場所場所では,

技術者の技量の高さもあって,ずいぶん喜ばれてきました。

しかし何せ,無尽蔵にあるわけではない自然の産物,しかも在来種。

どうしたら,樹木も人も幸せになれるのか,

もう少し科学的なメスを入れたほうが良いのかもしれないですよね。

待っていてくださるお客様には,プロジェクトを行わない場合は,

決定し次第,早めに前もって予告しますね。

来年のことをいうと,鬼が笑いますので,ここでは緩やかに書いておきますね^^

まあ,あまりお金にも研究的な成果にならない気もしますが,

幸いにして,生き物系は,研究者も技術者も協力者は多いし,

面白そうなので,ちょいとやってみようかなと思います。

協力者諸氏は,よろしくおねがいしまーす。

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【ポーランド行ってましたw】

9月の初旬に,ポーランド行ってました。

ご報告が著しく遅れてすみません(汗

あまりに忙しく,目まぐるしく時間が経過してしまい,

ブログを開くこともままならなかったのです。

深謝します。

で,そのポーランドの様子,写真が多すぎるので,

FB個人のページに公開しましたので,覗いてみてください(下記リンクから)

ザーリッシュのポストリン公園,ムスカウ公園へ行きましたが,

今回は,森林美学でザーリッシュが大いに参考にしたと言われる

ムスカウ公園の投稿です。

ここは世界遺産にも指定されている,世界最大の風景式庭園ですが,

我々は事もあろうに,この「超有名」な庭園部分を尻目に,

ほぼほぼ,森林部分に主に潜伏し,見学しておりましたw

ということで,第一弾は「きのこ」や「倒木」の写真という…汗

ほんまにスンマセン。

あと,学会の査読の締め切りを控えているので,

駆け足の紹介であることもご勘弁ください。

自分の小さな山づくりに,今回の見学は大いに貢献するでしょう。たぶん…

 

https://www.facebook.com/media/set/edit/a.548039812206272.1073741849.100010007748035/

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【昨日は森林作業】

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昨日は森林内作業であった。

久々に汗をかき,自分の生きる場所としての森林に,改めて愛着を感じた。

 周辺環境,植栽基盤である地形や土を見る,水の条件を調べる,

植物の特性を捉え,環境にあった方法で植物を生育する。

これらはひとつひとつ,専門分野に分かれていて,分化している。

 日本人はとても真面目で,一つの分野をかなり深掘りして研鑽する。

しかし,森林を造成するという行為は,それらを統合して行う営為である。

 

 

ヨーロッパのいわゆる「フォレスター制度」というのはおそらく,

これらの分化した各専門分野をすべからく,常識以上のレベルで習得し,

個人の知性で統合させ,販売の先を見通し,現実の施業に反映させる,ここまでを

一人の人間が行えるように訓練されているのではないかと思う。

翻って,わが日本ではそのような体系は存在していない。

あるのは,個人個人の高い技術と知性であるならば,

あるものを活かして良い山を作る算段を練るのが早道ではないか,

そんな考えで山づくりを行っている。

 

 

最近弊社では,

各専門分野の人間が一堂に現場に会し,

目の前の森林づくりの大まかな指針を出すようにしている。

自分の役割は,その雑駁な指針を具体的な森林づくりに反映することで,

個人の能力や技術を統合し,森林を作る案を練る。

まだ始まったばかりだけれども,やってみないとわからないことが多く,

教科書には掲載されていないシーンに多く遭遇する。

それは,とても楽しいことでもある。