森と庭の管理人(仮称)

副理事長.森と庭を管理する。

【ルールは大切かもしれません】

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書類仕事をしている合間に,とある原稿の初校が届きました。

自分の書いたものが印刷物になることは,本当に身が引き締まる思いです。

私なんかが書いてもいいのかなあと思いつつも,気を強く持って,

一生懸命取り組みたいと思います^^

先日は,そんな最中,法を守る方々がお見えになりました。

若干自分の中で納得できないことがあり,少し以前から相談をしていたからです。

私はかなりメモ魔なので,幸い,話は2時間ほどで終わりました。

生きていると,どうしても納得がいかなかったり,

信じられない怖い目に遭いながら,その後,不当な扱いを受けることがあります。

周りの方々から,「大人なんだしここは矛を収めて」と言われ,

その言葉に混乱することもあるでしょう。

が,感情論に走るよりも,きちんとルールに則って問題を解決すれば,

なんて事はないといつも感じます。

今回も,かなり自分の中のもやもやを,ルールによって明確に理解できました。

この記事もまあ,メモ代わりです。

さて,あとは皆様方にお任せして,自分の本分をしっかりやっていきましょう。

何事も,切り替えが大事ですものね^^

 

 

 

【人ありき】

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1週間ほどブログを書いていない事を思い出しました。

忙しいわけではなく,「忙しかった」あとのつかの間の骨休めをしてました。

なぜだか,この骨休めの時は,何も考えられない,

何もしたくない病気が発症するので,要注意です(笑

この間,6月4日は,造園学会でも話題になった,

八方北尾根高原のガーデン見学に行ってまいりました。

素晴らしいところですね,ここ。

何が素晴らしいかって,人,人が素晴らしいなあと思いました。

ここは,近隣の在来種のみで構成されているメドゥガーデンです。

在来種といってもさすがは白馬。植物の種類が豊富で,花が美しい種も多い。

今回はオープン前の上,春先という事で,控えめな春植物が主でしたが,

それでも,オトギリソウやリンドウ,シナノナデシコ,ヨツバヒヨドリ

ノアザミ,数種のギボウシ,カワラハハコなどの花々が

ロゼットから立ち上がっていて,数ヶ月後の景観を想像させました^^

これらは,多くの園芸植物のもとともなる美しい原種たちです。

そして,この地域によく見られた植物ですが,

近年,少しずつ減っていっている種でもあります。

こうした地元の美しい植物を選んで増やし,育成し,このガーデンは作られています。

私が感動したのは,泉健司氏の広い知見を総動員した設計思想と技法もさる事ながら,

こうした空間作りを受け入れた地元の方々の見識,

そして,ガーデン材料の在来種育種に携わっている現場の方々の

地道で献身的な姿でした。おそらく,この方たちがいなければ

このガーデンは完成し得なかっただろうし,今後の管理も難しいと思います。

何より,育種されているスタッフのほとんどが女性と言うのも素晴らしいなあ

と思いました。

この,人の育成を含めた部分までが,泉氏の設計思想とのことで,

人とともにガーデンが,この地域に根ざす事を視野に入れていると感じました。

やっぱり人ありき。人の思いが地域を創る。

現場の方々の,地元の植物への愛情,きっと地域に広がるのではないでしょうか。

白馬八方北尾根高原ガーデン,7月1日からのオープンだそうです。

森林美学への示唆もいただけたこのガーデン,すでにリピーターとなる気満々です^^

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【朴葉寿司を作る,色々考える】

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裏庭に,ホオノキが植えられている。

大きくなる木だが葉っぱが欲しいので,小さく仕立てながら育てている。

今年も葉っぱを採取し,酢飯に余り物をのせて,簡単朴葉寿司を作成。

いろいろ伝統的なレシピもあると思うが,何を具材にしても大丈夫そうだ。

毎年気楽に作っている。

夜作って朝になると,台所に朴葉のいい香りが満ちている。この幸福感!

山づくりの技術ももちろん大事だけれども,生活文化を知ることは,

同じくらい大事だ。

山では海とは異なり,ご飯を巻くものは基本的に葉っぱ。

香り高く,そこに抗菌という機能が付帯していることを看破した先人に敬意を感じる。

作家水上勉氏はその著書,土を喰う日々で,

杣人だったお父上が,お昼ご飯はおにぎりと,

少量の味噌を,山の朴葉の上で焼いて食べていたことを書いている。

その描写があまりに鮮明であったため,

間伐の際に除伐すべきこのホオノキを大事に持って帰って,

自分の庭に植えた。

毎年小さなホオノキが懸命につけた葉っぱの精をいただきながら,

山から庭への接点,林学と造園学の狭間を思い,朴葉寿司を喰らうのである^^

 

【不定形で多様で,小規模な森林こそ最良】

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 標記は造林の父,ガイヤーがその著書 Der Waldbau(造林学)に書いたらしい名言

(らしいってのは,別に読んでないからw)。

毎日の散歩で,ナルホドと実感すること多々あり。

3枚目の写真は,倒木か伐倒か不明だが,小さな林冠ギャップ。

じっと見ていると,様々な生き物が蠢いているようで,草が不自然に動く。

様々な鳥類がさえずり,見たこともない鱗翅類が乱れ舞う。

この大きさのギャップなら大丈夫そうだ,などと,散歩は様々なヒントが得られる。

今年は交付金申請で,担当者から弊社の山の小ささを鼻先で笑われてしまったが,

林学の徒であるならば,

ガイヤー先生の言葉をちょいと頭の隅にでも止めておいてほしいな,

と腹の中で思って溜飲を下げたw

知識は,世の中を意外に生きやすいようにしてくれるものだ^^

 

 

【ルーツ】

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昨日,今田先生の論文が掲載されている,発刊当時の北大演習林報が到着した。

自分の恩師のそのまた恩師に当たる先生である。

学生時代恩師から,今田先生からいただいたという別刷りを読ませていただいて,

その内容に衝撃を受けたのを,昨日のことのように覚えている。

美と功利の調和。

「美」を,「環境を含めた語彙」に置き換えて読んでみると,

非常に現代的な森林経営管理について書かれていると感じた。

 と同時に,ドイツでは100年も前に,こうした議論がなされていたのか…と,

意味不明の敗北感も感じた。 

それほどに当時自分の受けた林業教育と真逆で,驚いたのだった。

色んな意味で,自分のルーツとも言える。

先人のこうした叡智は,今後埋もれて無くなっていくのか,

はたまたどこかで展開していくのか,自分たちの手にもゆだねられている。

もうちょっと色々頑張ろうかな^^

 

【荒山さんのミズナラ】

先の学会でも発表をさせていただいた,

荒山雅行さんが大事に育て,板に挽いていたミズナラ板が,

新しく開店されるBarの棚板に使っていただけることになりました。

荒山さんが亡くなる半年ほど以前に,このミズナラを伐採し,

板に引いて,5年間ほど自然乾燥をしたものです。

Barの設計をされる,源池設計室さんが直接板を見にいらして,

たくさんある中から選び出し,

それが,鵜飼建設さんの加工で美しく蘇りました。

亡くなって5年近く経ちましたが,やっと,

荒山さんの意志に従った使い方がなされ,感無量です。



新しいBarの名称は,

松本市内にある Bar Porter様とおっしゃるそうです^^

源池設計室さんの素敵なデザイン空間の中で,

この板をお譲りくださった,奥様の荒山里利さんや

多くの関わりのあった方々と,こだわりのBarで,

静かに荒山さんの思い出話をしながら杯を傾けることを,

楽しみにしています。


 

Bar Porter様が開店しましたら,ご報告しますね。

皆様も,一度ご覧になっていただけると嬉しいです^^

http://genchisketch.blog48.fc2.com/blog-entry-2034.html

 

genchisketch.blog48.fc2.com

 

 

 

【ありがとうございました】

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昨日無事,造園学会のミニフォーラムが終了しました。

たくさんの方々にご来場いただきましたこと,心からお礼を申し上げます。

フォーラムの趣旨をまとめてくださった伊藤理事長,

非常に実践的な内容で登壇をしてくださった,泉さん,澤畠先生,

個人的にもとても共感できる感想を寄せてくださった

コメンテーターの上田先生,

そして,難しいテーマを短い時間で的確にまとめてくださった

司会の小野先生,

最後に何よりも,会場にお越しくださいました皆様に,

心からお礼を申し上げます。

名古屋造形大岡田先生の

「われわれは,空間を作る際にどの程度植生の遷移を受け入れていけばいいのか」

とのコメントは,とても印象深いものでした。

造園という営為に際して,つねに向き合わなければならないこの事実を,

今後どのように乗り越えていけばいいのか,対象ごと,状況ごとに

丁寧に考え続けてみようと思います。

写真は,フォーラム終了後の登壇者と理事長。

終わった後のリラックスした写真です。

皆様のおかげで,良い1日を過ごす事ができました。

ありがとうございました。