森と庭の管理人(仮称)

副理事長.森と庭を管理する。

【どうもありがとうございます】

ここのところ,何人もの方からメールやメッセージ,

ブログへのコメントをいただいています。

どうもありがとうございます。

私事により,昨年末からバタバタしていましたこと,

このはてなブログの使い方がイマイチ判然とせず,戸惑っていたことにより,

不義理を重ねております。

この場をお借りし,お詫び申し上げます。

少しずつ状況が変化してまいりましたので,

遅くなりましても,コツコツご返信させていただきますm(_ _)m

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さてこの度,とある小さな森林の所有者様から

素敵な森林をデザインして欲しいとの,オーダーをいただきました^^

今回のような所有が明確で,面積の小さな林地・樹林の場合,

所有者様が,扱いに困りながらも,どうにかしたい,

とお考えのケースが結構あります。

実は小さな森林は,地形にもよりますが目が届きやすく,

そのため,生活資源を管理しやすい側面があり,

 生活を潤わす存在にしやすいと,体験的に考えています。

例えば,普通は困りものの放置広葉樹林ですが,

弊社のクヌギ林は,林地として管理する部分では悉皆調査がかけられ,

個体単位の管理を行っています。

樹木位置も地図情報にプロットされているため,

美しい樹林の計画と資源計画を,机上で一旦行い,

その後,現場あたりをするという手順を迅速に行うことが可能です。

また,弊社には多岐にわたる専門家が関わっていますが,

小さな林地では多くの場合,その場で専門家同士が意見の交換をしやすく,

かつ,結果をまとめやすいという利点もあります。

所有者様にはまず,森林とともに,どのような生活をしたいのか,

夢を膨らませていただき,生活のデザインをご一緒に構築し,

その後の森林空間の具体的なデザインに反映します。

これまでの林地の施業計画とは,林地と生活をつなげると言う部分で,

一線を画しているのが,弊社の森林空間デザインの特徴と言えます。

デザインの手順は,すこし建築設計と似ているのではないかと思います。

また,ちょっと驚かれるのですが,古の造林書なども,参考にしています。

小さな林地では,樹木や植物を生き物として扱うことで,

彼らの順調な成長を促し,かつ健全な林木で構成される森林を造成すると言う考えは,

実は古の,100年ほど以前の林学者たちの英知でもあるのです。

 

 

写真は,国蝶オオムラサキの幼虫。

この山は,エノキとエゾエノキが混生しているようです。

こんな発見も,小さな森林ならでは,なのです^^

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参考:Heinrich Mayr(1902):Waldbau auf naturgesetzlicher Grundlage

 

 

 

 

 

【植物造形デザインを学ぶ】

昨年からぼちぼち,ドイツ国認定フロリストマイスターの橋口学先生のもとで,

植物造形デザインの理論を学びに行っています。

ドイツのフロリストデザインは,1900年初頭に

バウハウス出身のフランツ・コルブラントによって体系立てられたそうです。

ザーリッシュの著書と同時代でもあります。

このドイツ流デザインの理論は,以下のような内容なのですが,

森林美学の前半の部分,美の基礎についての記述と

内容がかなり被っていることに,少し驚きました。

1 自然観察・造形の文法

2 植物のキャラクターと主張

・テーマを持った造形の進め方
3 植物の動き・コントラストとハーモニー

4 植物の表面構造・グルーピングと並び方

5 プロポーション・視覚的なバランス

6 色彩学

特に色彩などは,ゲーテの色彩論による色環を採用していますし,

コルブラントは

花だけではなく,植物全体から受けるその種のイメージを見出していますが,

ザーリッシュはこれを樹木で行い,記載しています。

この両者の間に,何らか関係はあったのでしょうか?

いずれにせよ,ザーリッシュの書を森林管理の技術書と断定するのは

少し早計だったような気がします。

全体を読み,フロリストのデザイン理論を学んだ今は,

森林空間デザインのための指南書的な側面が強いと感じています。

引用:
1)サトウタツヤ イロイロ知りたい!心理学史 光と色をめぐる ニュートンゲーテの立場

https://psych.or.jp/wp-content/uploads/2017/10/51-42.pdf

2)Franz Kolbrand(1992), Europa windet den Kranz 

3)ハシグチアレンジメンツ フロリスト植物造形理論レッスン
http://www.h-arrangements.com/lesson/lessonriron.html

  

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【ヤドリギ】

またこの季節が到来しました。

ヤドリギとのおつきあいも,5年くらいになったでしょうか?

この間,ずいぶん色んな方々から,ご商売としてのお問い合わせいただきました。

しかし弊社は,来年度はもしかしたらプロジェクトは行わず,

この不思議な植物の偏在的な分布や,近年の爆発的な増加について,

ちょっと本腰を入れて調査を行う期間をとるかもしれません。

確かに住宅地のなかの大木は,ただでさえ維持が大変なのに加えて,

ヤドリギが寄生していることで,枝が落ちるなど,安全面にも問題はあります。

そのため,ヤドリギの除去をさせていただいた場所場所では,

技術者の技量の高さもあって,ずいぶん喜ばれてきました。

しかし何せ,無尽蔵にあるわけではない自然の産物,しかも在来種。

どうしたら,樹木も人も幸せになれるのか,

もう少し科学的なメスを入れたほうが良いのかもしれないですよね。

待っていてくださるお客様には,プロジェクトを行わない場合は,

決定し次第,早めに前もって予告しますね。

来年のことをいうと,鬼が笑いますので,ここでは緩やかに書いておきますね^^

まあ,あまりお金にも研究的な成果にならない気もしますが,

幸いにして,生き物系は,研究者も技術者も協力者は多いし,

面白そうなので,ちょいとやってみようかなと思います。

協力者諸氏は,よろしくおねがいしまーす。

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【ポーランド行ってましたw】

9月の初旬に,ポーランド行ってました。

ご報告が著しく遅れてすみません(汗

あまりに忙しく,目まぐるしく時間が経過してしまい,

ブログを開くこともままならなかったのです。

深謝します。

で,そのポーランドの様子,写真が多すぎるので,

FB個人のページに公開しましたので,覗いてみてください(下記リンクから)

ザーリッシュのポストリン公園,ムスカウ公園へ行きましたが,

今回は,森林美学でザーリッシュが大いに参考にしたと言われる

ムスカウ公園の投稿です。

ここは世界遺産にも指定されている,世界最大の風景式庭園ですが,

我々は事もあろうに,この「超有名」な庭園部分を尻目に,

ほぼほぼ,森林部分に主に潜伏し,見学しておりましたw

ということで,第一弾は「きのこ」や「倒木」の写真という…汗

ほんまにスンマセン。

あと,学会の査読の締め切りを控えているので,

駆け足の紹介であることもご勘弁ください。

自分の小さな山づくりに,今回の見学は大いに貢献するでしょう。たぶん…

 

https://www.facebook.com/media/set/edit/a.548039812206272.1073741849.100010007748035/

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【昨日は森林作業】

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昨日は森林内作業であった。

久々に汗をかき,自分の生きる場所としての森林に,改めて愛着を感じた。

 周辺環境,植栽基盤である地形や土を見る,水の条件を調べる,

植物の特性を捉え,環境にあった方法で植物を生育する。

これらはひとつひとつ,専門分野に分かれていて,分化している。

 日本人はとても真面目で,一つの分野をかなり深掘りして研鑽する。

しかし,森林を造成するという行為は,それらを統合して行う営為である。

 

 

ヨーロッパのいわゆる「フォレスター制度」というのはおそらく,

これらの分化した各専門分野をすべからく,常識以上のレベルで習得し,

個人の知性で統合させ,販売の先を見通し,現実の施業に反映させる,ここまでを

一人の人間が行えるように訓練されているのではないかと思う。

翻って,わが日本ではそのような体系は存在していない。

あるのは,個人個人の高い技術と知性であるならば,

あるものを活かして良い山を作る算段を練るのが早道ではないか,

そんな考えで山づくりを行っている。

 

 

最近弊社では,

各専門分野の人間が一堂に現場に会し,

目の前の森林づくりの大まかな指針を出すようにしている。

自分の役割は,その雑駁な指針を具体的な森林づくりに反映することで,

個人の能力や技術を統合し,森林を作る案を練る。

まだ始まったばかりだけれども,やってみないとわからないことが多く,

教科書には掲載されていないシーンに多く遭遇する。

それは,とても楽しいことでもある。

【ルールは大切かもしれません】

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書類仕事をしている合間に,とある原稿の初校が届きました。

自分の書いたものが印刷物になることは,本当に身が引き締まる思いです。

私なんかが書いてもいいのかなあと思いつつも,気を強く持って,

一生懸命取り組みたいと思います^^

先日は,そんな最中,法を守る方々がお見えになりました。

若干自分の中で納得できないことがあり,少し以前から相談をしていたからです。

私はかなりメモ魔なので,幸い,話は2時間ほどで終わりました。

生きていると,どうしても納得がいかなかったり,

信じられない怖い目に遭いながら,その後,不当な扱いを受けることがあります。

周りの方々から,「大人なんだしここは矛を収めて」と言われ,

その言葉に混乱することもあるでしょう。

が,感情論に走るよりも,きちんとルールに則って問題を解決すれば,

なんて事はないといつも感じます。

今回も,かなり自分の中のもやもやを,ルールによって明確に理解できました。

この記事もまあ,メモ代わりです。

さて,あとは皆様方にお任せして,自分の本分をしっかりやっていきましょう。

何事も,切り替えが大事ですものね^^

 

 

 

【人ありき】

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1週間ほどブログを書いていない事を思い出しました。

忙しいわけではなく,「忙しかった」あとのつかの間の骨休めをしてました。

なぜだか,この骨休めの時は,何も考えられない,

何もしたくない病気が発症するので,要注意です(笑

この間,6月4日は,造園学会でも話題になった,

八方北尾根高原のガーデン見学に行ってまいりました。

素晴らしいところですね,ここ。

何が素晴らしいかって,人,人が素晴らしいなあと思いました。

ここは,近隣の在来種のみで構成されているメドゥガーデンです。

在来種といってもさすがは白馬。植物の種類が豊富で,花が美しい種も多い。

今回はオープン前の上,春先という事で,控えめな春植物が主でしたが,

それでも,オトギリソウやリンドウ,シナノナデシコ,ヨツバヒヨドリ

ノアザミ,数種のギボウシ,カワラハハコなどの花々が

ロゼットから立ち上がっていて,数ヶ月後の景観を想像させました^^

これらは,多くの園芸植物のもとともなる美しい原種たちです。

そして,この地域によく見られた植物ですが,

近年,少しずつ減っていっている種でもあります。

こうした地元の美しい植物を選んで増やし,育成し,このガーデンは作られています。

私が感動したのは,泉健司氏の広い知見を総動員した設計思想と技法もさる事ながら,

こうした空間作りを受け入れた地元の方々の見識,

そして,ガーデン材料の在来種育種に携わっている現場の方々の

地道で献身的な姿でした。おそらく,この方たちがいなければ

このガーデンは完成し得なかっただろうし,今後の管理も難しいと思います。

何より,育種されているスタッフのほとんどが女性と言うのも素晴らしいなあ

と思いました。

この,人の育成を含めた部分までが,泉氏の設計思想とのことで,

人とともにガーデンが,この地域に根ざす事を視野に入れていると感じました。

やっぱり人ありき。人の思いが地域を創る。

現場の方々の,地元の植物への愛情,きっと地域に広がるのではないでしょうか。

白馬八方北尾根高原ガーデン,7月1日からのオープンだそうです。

森林美学への示唆もいただけたこのガーデン,すでにリピーターとなる気満々です^^