【ゲーテと植物形態学】
ゲーテといえば,文豪としてその名を知らない人はいません。
しかし彼が,自然科学の超オタク(高い専門性を有する者)であり,
その中でも色彩論に次いで,
植物形態学樹立の立役者というのは,存外知られていません。
私もよく知りませんでしたが,
森林美学にゲーテの引用が多かったのを不審に思い,色々調べてみると,
森林のデザインに関わる色彩論も,樹形論(植物形態論)も,
ゲーテの自然科学研究に影響を受けているのがわかりかけています。
でも,1700年代の,しかも文豪の研究って使えなさそう…ですよね?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ところが,小石川植物園の園長もされた,分子生物学の長田敏行先生は
「ゲーテの植物変形論(Metamorphose der Pflanzen)の結論である『花は葉の変形した
のである』という主張が,最近の分子生物学によって証明されたという記事が
Nature等の記事として何度も登場しているように,この話題は極めて現代的である。
世界的文豪の行なった植物での研究成果が
没後170年にしてその機構が分子レベルで証明されることは驚異的であり,
その背景を探ることに興味をそそられた(略)」
と,同園愛好会のニュースレターに書かれています。
【ゲーテと植物I】
http://www.koishikawa.gr.jp/NLHP/NL29/NL29_1.html
えー,すごくないですか?色彩論に継ぐ驚きです。
ドイツ文学の大澤先生から,ゲーテの自然科学研究についてうかがっていたものの,
そんなに現代的価値があるとは到底思えず,よく調べなかったのです。
恥ずかしいことですよね…
よく教科書でも見る,植物の模式図も,ゲーテ由来とか。
すごいです,文豪!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
長田先生が他のところで書かれているように,
「自分の研究がどんな意味を持つかをしっかりと見極めるうえでも、
歴史を学ぶことは大切だと思っています」
は,本当にそう思います。力一杯,同意です^^
そして,他分野だからと言って閉鎖的にならず,自由に興味に向かって調べる
長田先生の姿勢に,感銘を受けました。本当に猛省です。
今回のこの自分の小さな発見は,
自分的にはまっている,ドイツの植物造形デザインとゲーテとの深い関係も
垣間見ることができました。
…ということで,またポチってしまいましたよ…金欠…涙w