森と庭の管理人(仮称)

副理事長.森と庭を管理する。

【移行先】

色々考えて,ブログ移行します。

普段からSNSは,比較的頻繁に利用するので,

それらとの親和性の高い「note」に移ることに決めました。

SNSの延長と言う感覚のせいか,

お気楽に書いています。

森づくり,造園,農作業,松本市,好きなことを書き散らし,

おおよそ「知的」な文章とはならないと思いますが,

ぼちぼち,書いていきます。

どうぞよろしくお願いします。

https://note.mu/yupcolor

【近況と移行の準備…】

随分長い間,更新を怠っていてすみませんでした。

元気にしています。

 

ブログを更新しようと思っていましたら,

いくつかのアカウントから,ブックマークを「お気に入り」

されましたが,そのアカウントがいくつか「出会い系」のようで,

更新しづらい状況が発生してきました。

これ,hatenablogでも問題になっているみたいです。

例えばコチラ

https://www.nobusan.work/entry/2019/09/24/003750

ですので,ブログの移行を考えています。

移行した際には,また更新します。

弊社理事長は,最近ブログを再開したようですので,

ぜひそちらもご覧ください。

https://sei-fuchi.hatenadiary.org/archive

 

 

【日本語「森林美学」の立ち読み情報など】

本日発売となりました,日本語版「森林美学」。

私は英語序文や,林業的施業の部分,信大の学生さんたちの翻訳の直しを含め

70ページ程度を翻訳に関わったのみならず,

全体の文章のチェック,地名・人名の直しなど,裏方業もさせていただきました。

9年間,かなり孤独との戦いだったように思います。

何度,もうだめかなあと思ったことか(ここだけの話ですw)。

しかし,出版までこぎつけて,本当に安心しています。

あとは野となれ山となれ,です。

ご助力くださいました皆様,本当にありがとうございました。

本書の概略などの情報は,こちらをご覧ください。

何せ高価な本ですので中身も こちらから立ち読みし,

何かの折に,お買い求めいただければ嬉しいです。

出版を機に,少しずつですが,翻訳によって新たに気づいたことや,

森林をデザインすることについて,また,美しい森林を訪ねたことなどを

投稿していきたいと思っています。

それから本書は,別荘林や森林公園,小さな森を美しく作りたい個人の方など,

ちょっとした参考になるのではないかと思いますが,

新刊とはいえ歴史資料ですので,

いかんせん,現代文と比べればずいぶん読みにくいです(涙)。

これを,少し現代的に解説していければと思います。

 

このお仕事が終わって,最初にしたことは,わんこの散歩です。

久々に,晴れやかな気持ちでゆっくり散歩ができました。

これに勝るストレス解消はないですね^^

(野犬のチビも,だいぶ慣れてきました!最近は,庭でよく遊んでますよー)

 

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【先週はイロイロ】

先週末は,マツ枯れアカマツの伐倒作業。

今回のこの作業の補助金申請から実行〜実績報告までの親方業。

何かと批判の多い補助事業ですが,明確な趣旨をもち,

それが事業と合致した場合は,きちんと書類を揃えて申請する。

ごくごく当たり前の作業は,実はしっかり仕事を行う礎にもなります。

毎回担当の役所の方や一緒に仕事をする方には恵まれていて,

適切なご指導をいただき,林業の方には几帳面な仕事をしていただけました。

クライアントさんも含めて全員で働くと,なんとなく仲間意識が芽生えますね。

次の仕事も是非,お願いします^^

そして、週明けには,小型建設機械の特別教育へ行ってまいりました。

もともと工業高校を出身ですので(ただし工業化学科),機械の話は大好きです。

講師の先生はとても熱心で,座学も,実技も,しっかり教わって

修了証をいただきました。

車両系は楽しいので,これからも何か取ろうと思っています。

森づくりは,体を動かして学ぶことも多く,

これで,作業も一段と楽しくなります。

 

週の半ばに,別の補助事業の書類の修正を完遂しつつも,

週の後半は,急性湿疹が発症してダウン。

3日ほど静養し,いい機会でしたので,ゆっくり読書をし,

昨日は元教え子や後輩が遊びに来て,

やっと一息。充実したいい1週間でした。

来週以降は,測量と調査。

でも,無理は禁物。

焦らずゆっくり地味に,そして長く,研鑽したいなあと思います。

皆様もどうぞ,充実した1週間をお過ごしくださーい♪

 

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【なぜ森林美学だったのか】

よく森林美学について調べています,というと,多くの人は

林学を先行しておいて,なぜスギ・ヒノキの山に関して研究しないのか,

と言うご質問を受けます。たまにはお叱りも受けます。

私は幼少の頃,ベルギーというヨーロッパの小国で,

小学校2〜5年生までを過ごしました。

住んでいたのは,ブリュッセル市エクセル地区と言う場所でして,

家を出てから2ブロックほどで,カンブルの森(Bois de la cambre)があり,

週末のほとんどの時間を,この森の中で過ごしていました。

西欧,殊にこの国は,晩秋から春先にかけてのほとんどの日数がどんより曇り,

緯度も高く,大変寒冷な地域なのですが,その反動のように,

5月から10月の中旬までは,信じられないほど森林が美しく,

小学生の私は,父親から自転車を買ってもらい,週末のたびに

林内の散策路を,あちこち探検して過ごしていました。

この森の美しさは格別でしたが,ここは同時に木材生産の場でもあったことは,

のちに社会人から大学院に再入学し,研究に携わってから知りました。

私の中で森林といえば,この森林を想起させます。

 

森林美学との出会いは,このカンブルの森のような森づくりが,

なぜ日本では定着しないのかという疑問に端を発し,

林業と森林レクリエーションの歴史を紐解いた所から始まりました。

我が国では戦前は,列強に対抗する国力増強,そして戦後は戦後復興のため,

林業が多大なる貢献をしてきたことを知り,

まず山は,林業のために存在せざるをえなかった事情を知ることができました。

そして今,放置林問題を払拭すべく,新しい森林管理が林業政策に取り入れられ,

少し以前よりもいや増して,産業重視政策をとることとなります。

しかし一方で,

市民の森林(樹林でもいいです)への保健休養の場としての期待も

戦後,市民のレクリエーション文化の成熟とともに増大しているのも事実です。

この二つは,場所によっては必ずしも乖離しなくてもいいのではないか,

そのような考えを大学院入学直後,ゼミで話をしたところ,

恩師から戦前の新島善直先生の「森林美学」のコピーを読ませていただきました。

この本は読みづらく,当時の私には非常に難解であったのですが,

この本の周辺について様々に調べた結果,

森林所有者の経済的メリットのみが重要なのか,森林は公共財ではないのか

という深遠なるテーマで,19世紀におけるドイツ林学会で議論がなされたこと,

我が国では林学の導入と同時にこのテーマ自体が,明治期に導入されたこと,

さらにはこの本に関わった一部の林学者が,市民のために開かれた森林を目指し,

あの手この手で,保健休養の場ともなりうる,

美しい森林を根付かせようとしたことを知ったのです。

この本に関わった研究者のほとんどが,林学者であったため,

森林への木材供給機能を諦めずに,美しい森林を作ることを夢みたと思います。

この夢は,現在に至るまで連綿と継続していると考えます。

私はただ,この先人の方々を後ろから追いかけて,

微力な貢献をしたいと考えているのにすぎないのです。

 

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写真はカンブルの森(wikiから引用)。冬はこの湖が分厚い氷に閉ざされます。

しかし,やがて訪れる春の美しさは格別でした。

 

参照:清水裕子, 伊藤精晤, 川崎圭造 戦前における「森林美学」から「風致施業」への展開(平成18年度日本造園学会全国大会研究発表論文集(24)) ランドスケープ研究 69(5), 395-400, 2006

【とりあえずご報告をば】

つい先日,出版社の社長さんとお話をしていたら,

「この本の話が最初に出てきたのは2009年の…」

「ええーっ,そんなに前…(絶句」

本当に,ずいぶん長くかかって申し訳有りませんでした。

一昨日やっと,出版社さんから出来立てほやほやの、

日本語版「森林美学」を送っていただきました。

おそらく本日,造園学会の会場で販売されると思いますが,

公(?)の発売日は6月6日です。

なんだか今は,放心状態ですので(フニャフニャでごめんなさい),

この本にまつわるエトセトラはまた日を改めて…

世の中は,なにやら物騒なニュースも多く,

今日戸外は,松本クラフトフェア。

でも今日は自宅や近隣で,

ボサノバ,珈琲,柑橘類,自家製ベーコンで作ったパスタ,

わんこの散歩,本,植物,鳥…好きなものだけに囲まれて

久々の休日を,惚けて過ごしています。

明日は仕事。現場のディレクションもとい,親方業ですw

親愛なる林業の友人諸氏,明日はよろしくお願いしまするm(._.)m

仕事は本当に楽しい。

皆様も,どうぞ心も体も休まる休日をお過ごしくださいませ^^

 

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(はっちゃん,表紙のデザインありがとう。さすが素敵すぎる…)

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(休日はまったりボサノバに限る…脱力…)

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(初夏だけどMidWinter

…珈琲美味しい…)

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(生パスタ…レモンオイルソースが好み…)

【ゲーテと植物形態学】

ゲーテといえば,文豪としてその名を知らない人はいません。

しかし彼が,自然科学の超オタク(高い専門性を有する者)であり,

その中でも色彩論に次いで,

植物形態学樹立の立役者というのは,存外知られていません。

私もよく知りませんでしたが,

森林美学にゲーテの引用が多かったのを不審に思い,色々調べてみると,

森林のデザインに関わる色彩論も,樹形論(植物形態論)も,

ゲーテの自然科学研究に影響を受けているのがわかりかけています。

でも,1700年代の,しかも文豪の研究って使えなさそう…ですよね?

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ところが,小石川植物園の園長もされた,分子生物学の長田敏行先生は

ゲーテの植物変形論(Metamorphose der Pflanzen)の結論である『花は葉の変形した

のである』という主張が,最近の分子生物学によって証明されたという記事が

Nature等の記事として何度も登場しているように,この話題は極めて現代的である。

世界的文豪の行なった植物での研究成果が

没後170年にしてその機構が分子レベルで証明されることは驚異的であり,

その背景を探ることに興味をそそられた(略)」

と,同園愛好会のニュースレターに書かれています。

ゲーテと植物I】

http://www.koishikawa.gr.jp/NLHP/NL29/NL29_1.html

えー,すごくないですか?色彩論に継ぐ驚きです。

ドイツ文学の大澤先生から,ゲーテの自然科学研究についてうかがっていたものの,

そんなに現代的価値があるとは到底思えず,よく調べなかったのです。

恥ずかしいことですよね…

よく教科書でも見る,植物の模式図も,ゲーテ由来とか。

すごいです,文豪!

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長田先生が他のところで書かれているように,

「自分の研究がどんな意味を持つかをしっかりと見極めるうえでも、

歴史を学ぶことは大切だと思っています」

は,本当にそう思います。力一杯,同意です^^

そして,他分野だからと言って閉鎖的にならず,自由に興味に向かって調べる

長田先生の姿勢に,感銘を受けました。本当に猛省です。

今回のこの自分の小さな発見は,

自分的にはまっている,ドイツの植物造形デザインとゲーテとの深い関係も

垣間見ることができました。

…ということで,またポチってしまいましたよ…金欠…涙w



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